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「五箇山の本」
手元に、「五箇山」という写真集がある。
これは昭和47年に富山市の巧玄出版から発行された、「富山シリーズ」の中の1冊(第4巻)で、郷土出身の作家によってそれぞれが写真と文章でわかりやすく、詳細に綴られている。
残念ながら現在、絶版となっているが、これは五箇山を書いた様々な本を代表する1冊であると思う。
サブテーマは、〜失われる、山人の暮らし〜。
著者は、文章が平村出身現在富山在住の、書家宮崎重美氏、写真は相倉在住の写真家池端滋氏と上平出身富山在住の山本重雄氏。
四季を通じての行事や日常事がモノクローム写真で切り取られ、それらにまつわる文章はとても丁寧でわかりやすく書かれている。
富山といえば立山の、峰々の様子を羅列したそんな写真集とはチョットワケが違うのだ。
私のような若輩者が、このような事を書くとまたいらんことをと、とお叱りを受けるかもしれない。
世間は高度成長期の真っ只中であった反面、五箇山の過疎化が進み厳しい時代であった昭和40年代頃に書かれたものであるためか、ふるさとへの想いが切ないほどに綴られているように思う。
家の座敷での結婚式、また、今では見られないサンマイでの弔いの様子などは大変珍しい。
頭をうなだれながら長く続く葬列は、その人の「くらしの歴史」の終焉を物語るようで、写真いっぱいから悲しみが漂う。
雪の降りしきる中、お寺でのマイリゴトに向かう人々、若い女性が振袖姿で集う春まつり。
つり橋の上でくつろぐ観光でおとずれたのであろう若者。
うれしい事も哀しい事も、地域全体のもので、行事のひとつひとつが、人々の暮らしに根付いていた、また、時間もゆったり流れていた。
そんな良い時代でもあった。
今の五箇山と比べて、何か変わったか、あるいは何が変わっていないか。
読んだ事のない方には、ぜひご一読をお勧めしたい。
そして、「むかし読んだっキリやのー」と、家の本棚に眠らせている方、今一度読み返して頂きたいと思う。
しわくちゃのおばあちゃんの笑顔が、
「あんにゃ、まめなかい?」
あるいは
「オマエサマ、ヨーゴザッタ」
などと、語りかけてくるようだ。
私が一番印象に残っているのは、やっぱりというか大好きな、獅子舞が写っている春まつりの様子が書かれたページである。
練習風景とはいえ、所作のひとつひとつが儀式のようで、皆真剣だ。
その人物が、知っているひとだったりするのだが、30余年も前の写真である。当然、幼いシシトリとして写っている。
(ありゃ、髪の毛あるがよ)
今も住む人、あるいは過去住んでいた人。
一瞬一瞬が刹那に過ぎゆく、人々の生活。その時どきの思い。
他所から訪れた人も、それぞれの思い出を重ね合わせながら読む事が出来る、そんな本でもある。
文章:@ゆっけ
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